漫画家マンガの世界

漫画家を主人公にしたマンガ「漫画家マンガ」を語ります

男の条件 感想の4

冒頭にロダンの「考える人」が登場する。
彫刻の写真ではなく、川崎のぼるタッチの絵だ。
(アシ絵に違いござんせん!)
全身に黒々と、これでもかと描き込まれた筋肉、まるで解剖図のようでお世辞にも綺麗とは言い難い。


この絵に添えられる言葉が、
(すべて引用)
「男の条件とはなにか?
これは児童まんが界に 青春をたたきつけ
血みどろの まんが修行をとおして
その作品にも 人生にも 男の条件を
追及しぬいた ある若い魂の記録である」


このあたりでもう笑いの下地ができる。


青春をたたきつけ…たたきつけ?
血みどろのまんが修行…血みどろ?
追及しぬいた…しぬいた?


と。
一行ごとに疑問が湧く。


で次のシーンは漫画家の豪邸。
8人のアシ、5人の編集者に囲まれ、漫画を描く大先生。
なんと見開きの俯瞰図だ。
(ロダンと対照的に白っぽく綺麗に描かれている)


ここにやってくる主人公。
こんな人。


物凄い筋肉の過剰表現、とたんに私は爆笑。
いやスポーツ漫画ならわかりますが、漫画を描く主人公にこんな筋肉はいらんでしょう!


何度か書いたと思うが、私はリアルタイマー。
今回は再読です。


連載時には笑いはしなかった。
「川崎のぼるらしいわあ」
と受け止めた。


ペンを持つ手にも、川崎のぼるは筋肉をつける。
こんなふうに。


節くれだった太い指。
大リーグボールを投げるとかならわかりますが。
これで漫画絵を描いたら腱鞘炎まっしぐらですぜ。
漫画家の職業病だと聞いたことがあるけど、手を痛めたら修行にもなりませんぜ旦那。


で。
このあとずーっと、漫画をスポーツと誤解したようなエピソードの連打になる。
今回はラストまで笑い続けた。


連載時には私は高校生。
中学生の時に本物の漫画家(池川伸治、杉戸光史、さがみゆき)とそのアシたち(郷力也、えのせかずお)に会っているので、イメージの違いははっきりしていた。
だから違和感は持ったが笑うほどではなかった。


今猛烈に笑える理由は、たぶんこの後に来るパロディ時代を経ているからだろう。
連載時には「笑っちゃいけない」気分があった。
今はそれから解放された、楽な気持ちがある。