漫画家マンガの世界

漫画家を主人公にしたマンガ「漫画家マンガ」を語ります

バクマン。感想の5

「漫画の作り方も変わったなあ」としみじみすることもあれば、「変わらないもんだ」と驚くこともあった。


変わらないといえばまず、少年ジャンプのコンセプト、「友情・努力・勝利」である。
「バクマン。」の時代に、これが立派に生きていたことには感動した。
今は(ジャンプを読まないから)知らないが、生きているんじゃないかなー、このぶんでは。
(と思う)

この作品に対して、女の子たちが書くであろうファンレターを想像してみる。


「私は、サイコー(主人公、作画担当)とシュージン(主人公、原作担当)が、シャーッ!と叫ぶ時の表情が大好きです。
二人がいつも仲良く、この表情をしていてくれたら良いのに、と思います」


…とまあ、こんなもんでしょう…
※「シャーッ!」は「よっしゃー!」(ナイス!)のこと。


でこの文面にだまされて、ドヤ顔をしている主人公ばかり描くと、連載は地獄。
打ち切りという言葉が、すぐさま担当編集者の口から発せられるに違いない。


主人公の勝利宣言は、怒涛の危機を乗り越え、あまたの鍛錬と創意工夫、すなわち努力の果てに出てくるものでなければならない。
《努力→勝利》の図式である。


女の子たちにもこれが「お話の仕組み」と、わかっているところもある。
その証拠に「死闘」抜きの主人公には、なんか物足りない、と言う。
しかし初めから「どうぞ死ぬほど苦労して」とは言わない(ファンレターに書かない)のである。


《努力→勝利》にプラスされるのが《友情》。
これは、「友のためなら命も惜しまず」という利他的な主人公にしろ、あるいはそういうシーンを多々見せろ、ということ。


本当に《友情・努力・勝利》はよくできている、と思う。
これを50年前に考えついた人は、天才。