漫画家マンガの世界

漫画家を主人公にしたマンガ「漫画家マンガ」を語ります

月と指先の間

『月と指先の間』 稚野鳥子


少女漫画は私、駄目。
(感情移入ができない)
この作者の作品も読んだことなし。
作者名すら読めん!
(どうお読みすれば良いので?)


しかし大変タメにはなった。
漫画家の収入などのデータはきわめて詳細。
このくらい細かく書くなら嘘を書いては無意味のはず。
で他では見られないリアル感があった。


なるほど、今はメディアミックスをねらうしかないのね。
漫画も売れないからねえ。
何、パチンコが一番?
そうなんだ、ということはパチンコ業界は不景気知らずなのね。
…などなど。


50代の主人公の見た目が、どう見ても30代以上ではない。
しかしこれに関しては許そう。
年よりずっと若く見える人は実在する。
それにインドアの生活を続けている漫画家は一様にお肌が綺麗。
許せないのはこいつ(主人公)がよく泣くこと。


50代は女も男もアブラぎって、バイタリティに富み、他人をぶっ飛ばして前進する勢いのある時だ。
泣くとはなんだ。
そのざまは一体なんなんだー?


「私は少女漫画家なんだから、察しなさい」
みたいな台詞を男に言うシーンが何度か出てきて私もやっと少し理解した。
ことあるごとに泣くようなメンタリティを持つ人でなければ、たぶん少女漫画は描けないのだ。
泣き虫は職業がなした性格なのだろう。


仕事と恋愛が半々の重みで描かれている。
これも少女漫画、と許すが。
相手の男が編集者なのはいただけなかった。
編集者は同盟者。
仕事とプライベートは分離しなければいけない。


結婚生活はコマーシャルにあるような「(お店ではない)我が家のリビングで一緒に食事する」のとはわけが違う。
現実のそこには、たとえばどっちがお風呂を洗うのか、どっちがアルツハイマーの親を病院に連れていくのか、てな生々しい問題がたっぷりあるのだ。
漫画家が高収入だった時代には、それらの問題も「お手伝いに頼む」という方法で解決できただろう。
今は収支がとんとんという話で、お手伝いにも誰にも頼めない。


結婚生活(共同生活)に適する男と、仕事の相棒に適する男とは別。
仕事は「努力・勝利」の世界であるから、「友情」を結べる男でなければならない。


うーん。
やっぱり『バクマン!』はわかりやすかったなあ、と思いつつ、1~4巻を読み終わった私だった。