漫画家マンガの世界

漫画家を主人公にしたマンガ「漫画家マンガ」を語ります

バクマン。感想の3

ひどく大雑把な言い方で申し訳ないが。
「バクマン。」の頃を過去(ひとむかし前)とすると、私は大過去(ふたむかし前)に属する人間。


だが、「ちっとも変わらないなー」と思うこともあった。

連載の人気が落ち目になってきた主人公たちが、テコ入れをしようと、自分たちなりに考えてとった手段が、ファンレターの意見を取り入れること。
これが担当編集者から痛烈な批判を受ける。


いわく。
・ファンレターの差出人はほとんどが女の子。
・掲載誌は男の子向け。従って女の子の望む通りの漫画を描いてはいけない。


私が連載していたのも少年誌だった。
その本には少女読者も3割ほどいて、これは無視できない数字だった。
ファンレターをくれるのは99パーセントが少女。
少年たちは無言で、たまに書いてくれても、せいぜい
「面白いから続けてくれ」
「長くやってくれ」
てな、ごく短いものばかりだった。


読んでいると、男は馬鹿揃いで、言葉がないように感じられる。
女の希望をかなえてやりたくなってくる。
だが、よくよく読むと
「これをかなえてやったら、話はおしまいだ」
と思えるようなことを、女は書いていることがわかる。


たとえばだが、
「彼(主人公)をつらい目に合わせないで」
「彼らを幸せにして」
などと。


実にとんでもない。
主人公をどんどん危機におとしいれるのが、少年漫画の作者の務めなのです。
どんな危機のどん底からでも這い上がってくるのが、主人公なのだから。